認知症かいごブログ

認知症高齢者の難聴問題

私の職場のデイサービスは認知症専門デイサービスで、利用者は皆さん認知症です。健聴者が多いですが、難聴者数人、ろう者一人という具合で、耳の問題を抱えた利用者が複数人います。認知症の度合いも、耳の聞こえの度合いも様々な人が交わるデイサービスで、今回は難聴者のお話しです。

難聴者とは

耳の遠さに個人差があるものの、拾える音があったり、補聴器を使うと聞こえたり、コミュニケーションの手段が声や音声で生活している人です。

ろう者とは

デイサービスには認知症のろう者も利用しています。ろう者とは、耳がほぼ聞こえない、全く聞こえない人で、コミュニケーションの手段が手話で、視覚の世界で生活している人です。

健聴者とは

耳の聞こえにおいて、日常生活に支障無く聞こえる人です。

難聴者はコミュニケーションが取りにくい

デイに来る認知症の難聴者は、難聴は自分だけと思いがちのところがあります。実は相手も耳が遠いということもありますが、その辺は通じないもどかしさがあります。

健聴者にとっても、自分の声が届かない時に、スタッフが「ちょっと耳が遠い人なので」と伝えたところで、認知症がゆえに一瞬で忘れてしまいます。相づちも返答もしてくれない相手を不快に感じるため、再度スタッフが間に入って通訳していきます。

難聴は、声や音の情報が受け取りにくく、コミュニケーションが取りにくいです。そのために日常生活に支障をきたすレベルだと、誰かが仲介したり、補聴器か集音機など工夫していく必用が出てきます。実際には何もしていない人は多く、本人も関わる人も聞こえない、伝わらない不便さを感じています。

難聴者のパターン

⓵聞こえないから自分からは話さない
②聞こえないから周りに悪口を言われていると思い込んでしまう
③聞こえないから相手の話はスルーして自分だけ話す
④聞こえないから誰とも話さない

性格的なことで分かれますが、難聴者で危うさを感じるのは④のタイプでしょうか。やはり誰とも話さないと脳への刺激が減り、認知症の進行に影響を及ぼしてしまいます。

⓵の場合、自分からは話さなくても周りから話しかけられて応えることができればまだ④に比べると違いが大きいです。

②は、周りや離れたところにいる人たちが会話をしていて、自分と目が合い、目をそらされて会話に戻られるといった時に起こりやすいです。その時はその都度誤解を解いていきます。

③は、難聴者に限らず、会話の一方通行は誰でもしんどかったり、困ってしまうので、途中からスタッフが引き受けます。

皆が皆認知症なので、そもそも会話がチグハグで成立している世界です。支離滅裂な言葉でも気にせずガンガン話す人もいるので、受け手の様子を見ながら助け舟を出しています。

一番割りを食うのが、自分の耳が遠いせいで、相手を不快にしてしまうのではないかという謙虚さがある人です。話しかけられると一生懸命に相手が何を言っているのかを理解しようと努めています。だいたい相手はスタッフさえも理解不能な言葉で話しているので気の毒です。

難聴者のこれから

認知症の進行を緩やかにするために、他者とのコミュニケーションが取れる人なら補聴器、テレビやラジオといった情報を取りたい人なら集音機など考えられますが、私は「手話」もこれからは選択肢の1つとして考えていってもいいのではないかと思います。

もちろん、今既に難聴者が覚えるには無理がありますが、今後、自分が難聴になるかもしれないという人は「手話文化」も視野に入れておくと選択肢の幅は広がっていくことでしょう。

オリンピック、パラリンピック、デフリンピック、今や国際的なスポーツ大会においてもデフ(耳が聞こえない、聞こえにくい人)は表舞台で活躍しています。

認知症だから、聞こえにくいからと、コミュニケーションをあきらめない世の中にしていくために今できること。デイサービスという小さな交流の場ではありますが、聞こえる人、聞こえにくい人、聞こえない人が混ざってコミュニケーションをとっていくこと。

社交的な人は特に認知症高齢者であっても、簡単な手話を覚えてくれようとしますし、実際に一緒にやってくれます。皆を巻き込んですることで新しい風が吹き、それもまた一瞬で忘れ去られ、また同じように、きっかけ1つで繰り返し皆を巻き込んで手話と会話とミックスコミュニケーションをしていけたらと考えます。