認知症かいごブログ

ブラトップに苦戦する高齢者~下着事情~

高齢になっても、下着事情は人それぞれ。

今回は、そんな高齢者の下着事情のお話です。

高齢になり、認知症になると、もう自力では衣類も下着も買う人はいません。既存で持っているものをずっと使い続けるか、家族が買い足すかのどちらかです。

最近ではブラトップを着用して来る利用者が2人出て来ました。どちらも普段は自力で衣類の着脱はできる人です。

ところが、ブラトップになった途端、脱ぐことはできても、着ることができません。

Aさん:とりあえず着てみますが、どちらが前なのか、どこに体を通したらいいのか四苦八苦。果ては腹巻きになったり、遠山の金さんになったり、ブラカップの部分がねじれてしまったり。職員が整えてサポートしてやっと着用。

Bさん:着るより先に、構造や向きを確認しておこうとしています。賢明な判断ですが、ひたすらひっくり返したり、回したり、しばらく経ってもどうなっているのかわからない様子。職員は見守りつつ、自力では拉致があかなかったため、向きを整えるサポート。しめつけで着にくそうにしながらも何とか着用。

結果、お二人とも何回か着て来て、結局ブラトップ以前の下着に戻っていました。しかしBさんだけブラトップを克服して、しっかり向きを正しく家訓して再度着用して来るようになりました。すごい!

ブラトップは家族が良かれと買った下着だと思いますが、本人が自力で着るにはハードルが高い下着の1つです。Bさんのように慣れで着れるように誰しもがなるとはデイサービスを利用している人全般を見てる限り考えにくいです。Bさんは利用者の中でも一握りの腕の可動域が広く、運動神経の良い人ということに他なりません。大半の人はそうはいきません。

女性らしいと喜んでいたり、それを着たいという思いがある限り着れる可能性はあるかもしれませんが、Aさんのように「これどうなってるのか、わからんねん」と困っているだけなら、せっかく買ったものでも、撤退せざる得ません。高齢で認知症の人には特に難しい下着ということです。

では、買い足しに悩む家族のために、今の高齢者は、いったいどんな下着を着ているの?という疑問に答えていきます。これは、デイサービスでの現在でのデータです。

高齢女性

上衣
●しめつけ感の無いフラットなタイプのインナー
●冬は暖か素材の肌着
●タンクトップ
●シュミーズ(昔で言うところの)
●ワイヤレスブラ
●Tシャツ
●エアリズムなど伸縮性はあるがしめつけ感もあるタイプ
●ブラトップ

下衣
●ショーツ
●ショーツ+尿とりパッド
●リハビリパンツ(紙パンツ)
●リハビリパンツ+パッド
●ズボン下
●ペチコート

高齢男性

上衣
●綿肌着
●冬は暖か素材の肌着
●Tシャツ

下衣
●リハビリパンツ(紙パンツ)
●リハビリパンツ+パッド
●トランクス
●ズボン下

だいたいこんなところです。女性の方がやはり種類は多いです。そして現役時代から着ていた下着をずっと汚れが落ちてなくても擦り切れても着ている人が多いのも高齢者です。

買い足す時に、現役時代から身に着けていたものと同じタイプを単に買い足すことはやめておきましょう。体形の変化、身体の可動域の変化など、加齢による変化に応じたものを選ぶ必要があります。

介護職員の視点から、こんな下着がおすすめというものをお伝えします。

おすすめ下着の条件

サイズが合ったもの(わからなければ大きめ!)

血の循環が悪くなるほど窮屈すぎる下着や衣類を着ている人が多いです。今の体形にあった下着を定期的に見直す必要があります。

よく伸びる素材で、体にピッタリよりも、ゆったり素材

ブラトップ、エアリズム的なものは、サイズが合っていても体にピタッとひっついているため、着脱に力が要り、自力で整えて着られない可能性が高いです。

本人が着やすく、気にならない馴染みのあるもの

認知症になると、自分のイメージする下着と違うタイプの下着は受け入れにくい場合があります。自分のでは無い、誰かが勝手に用意したとストレスにつながりやすいです。

尿失禁、便失禁がある人

尿失禁や便失禁が、時々でもある人で、パンツ(ショーツ)にパッドを付けている人は要注意です。特に軟便だと受けきれず、衣類まで汚してしまいます。本人のこだわりや抵抗の有無もありますが、リハビリパンツ+パッドに移行することで、大惨事を最小限にできます。

認知症の人の下着は、家族によって関心が無かったり、急を要さなかったり、親の下着なんて踏み込んではいけない領域のような気がして何もできないなどで、現状維持の人が多いです。

本人は「大丈夫」と言っても、血の巡りが悪くなりそうなキツい下着や衣類を身に着けている人はとても多いです。身体に明らかに良くないです。できる限り自力での更衣を継続するためには、家族の協力は不可欠です。

定期的にチェックして、消耗しているもの、洗い替えが足りないものは、買い足してください。今は安くても良いものはたくさん市販されています。その時点に体に合った下着を身につけてもらいましょう。

高齢者の下着・衣類チェック 7選

1 自力で更衣できているか
2 胴回りがキツくないか、余裕があるか
3 着脱の時に首回りに余裕はあるか
4 素材に伸縮性はあるか(伸びない素材は介助も格段にしにくい)
5 生地が擦り切れてないか
6 パンツの汚れ(リハビリパンツへの移行の判断)
7 靴下はキツくないか(むくみや浮腫の人は多い)

まとめ


認知症の高齢者は、自分では下着や衣類の管理ができません。下着のことをタブー視せずに、家族は踏み込んで、今必要な物をそろえることが先決です。
どうせ汚れるから、どうせわからないから、何を選べばいいのかわからないということで放置はNGです。「衣・食・住」といわれるほど、人間にとって必要不可欠なものです。

高齢者の体形の変化や体の可動域を見逃さず、自力で更衣しやすいものを選択することが必要です。下着・衣類は健康に直結するということを知っておいてください。
ということで、ブラトップを買う時は、更衣できるかを見極めてから買いましょう。