お風呂に何日どころか何年も入っていない人が、デイサービスに来ることがあります。
Aさんは、認知症の独居生活です。独居といっても、ケアハウスという少しのサポートで基本的に自立した生活ができる高齢者が住む施設に住んでいます。食事は用意されますが、お風呂の介助まではありません。
Aさんは、歩行が不安定で手押し車で移動しています。もしAさんがお風呂に入る場合には介助無しでは厳しく、ケアハウスのお風呂に入ることはできません。自力で清拭することも難しく、そもそも自立した生活ができているとは言い難い状態です。
そんなある日、サポートが入り、デイサービスに通うことになりました。デイサービスでは、食事、お風呂、機能訓練などを行います。必要な健康や衛生面のサポートを受けることができますが、介護度や経済的事情によって、通える日数も限られます。
Aさんは、週1回からスタート。初めて利用されたAさんは、特に人見知りも無く、会話も通じます。
何年?何十年ぶりのお風呂であっても、特に抵抗はありません。不衛生ではあるけれど、菌をもって菌を制しているのか、しっかり生きているので不思議です。
覚悟はしてましたが、長年お風呂に入らず、清拭もして来なかったAさんは・・・
髪は汗やホコリで固まっていてシャンプーする指が入らない。頭はフケで肩に白いホコリのように付いています。
皮膚は垢が溜まって、臭いも強く、爪には排泄物が詰まっているという、なかなか大変な状態でした。
初回だけでは一気に汚れを落とすことはできません。高齢者の皮膚は薄く傷つきやすいです。
とりあえず、デイサービスに来た時には、具合が悪くない限り、お風呂に入れるようになりました。ただ、週1回ではきれいにしたとしても、元に戻ってまた汚れた状態になってます。
繰り返し毎週洗うことで、髪は指が入るようになりましたが、なんせ1週間分の汚れですから、体を洗っても、湯船は毎回白く濁ります。それでもAさんは気持ち良さそうに湯船に浸かっています。
お風呂の効果は、何も体をキレイにするだけではありません。気持ちがリフレッシュすることも充分心の健康につながります。
今回のAさんのように、お風呂を気持ち良く入れる人だと、サポート次第で衛生面を例え週一回でも補えるのですが、一定数の人はその真逆で、お風呂に入りたがらない現状があります。
認知症の高齢者の人は、自分で衛生面を管理できないからこそ、放っておくとAさんのように、ひどい汚れ具合になって、誰でも菌に強いとは限らないので、病気にもなりかねません。
独居の認知症高齢者の親がいる人は、離れていてもこまめに状態を把握しておくことが必要です。
高齢者というだけでも、お風呂での危険は伴います。ましてや認知症の人だと安全面で、デイサービスなど外のお風呂サービスを利用した方が安心かと思います。
デイサービスは、お風呂目的で通わせている家族も少なからずいます。経済的な事情もありますが、デイサービスでお風呂に入る時には必ず複数職員が介助したり関わりますので、安全に入ることができます。
問題はお風呂を嫌がる認知症高齢者です。家族ではお手上げかもしれません。そんな人も、認知症専門デイサービスでは、経験を積んだスタッフが対応しますので、100%では無いですが、お風呂に誘導するすべを心得ています。
高齢の独居の親を持つ人は、今からでも衛生面を意識していくことをすすめます。