認知症かいごブログ

お風呂で便が出た時の【声かけ】

高齢や認知症になると、トイレが間に合わなかったり、出た感覚がわからなかったりと、結果的にトイレ以外のところで失禁してしまうことが起こって来ます。

今回は「お風呂に入る時に、便が出てしまった」そんな場合に使ってほしい声かけのお話しです。お風呂で無くても、失禁の時に使える声かけですので、ぜひ参考にしてみてください。

声かけが大切

どの時点で、どの場所で便が出たかによって対処は違って来るのですが、対処時に共通すること、それは「声かけ」です。

つい慌てて汚染の処理を最優先してしまいがちなのですが、まず、心がけたいことは、本人への声かけです。

仮に本人が認知症でわかっていないようでも、声かけは大切です。そして、人によって捉え方が様々なので、その人、その状況で声かけを変え、その人に響く声かけをすることで、失敗をした気持ちを和らげていきます。

失禁は、増えても、無くなることがないので、本人になすすべがありません。

怒られるから、人に知られたくないから、そんな理由から着替えを拒否する人がいます。着替えができなければ衛生が保てず、皮膚疾患や、認知症の進行など、違う問題が発生し、結局は介護者の負担もまぬがれません。

事実よりも気持ちを受け止める

「こんなこと初めてや」毎回初めてで無くてもそのように言ってしまう人は多くいます。
「なんでこんなことになってしまったんやろう・・・」切ない言葉です。

本人の状態

・事態を理解できる
・自分の排泄の失敗を認められない、認めたくない
・失敗した自分に不安になっている

「初めて」という言葉が事実でなくても、本人が「初めて」と言った言葉の背景、気持ちを汲むことが、事実を突きつけるよりもとても大事です。

NGな塩対応の返し

「初めてと違うやろ!これまで何回もたれてるやろ!」
「なんでしたくなったらすぐトイレ行かないの?!」
「汚いし臭いし勘弁してほしい」
「(手伝おうとしたら)余計なことするな!余計汚れるやろ!」

誰しも失敗をした時に、怒られたり、嫌な顔をされたり、汚い臭いと言われたりすると、どうでしょう?すぐに忘れてしまったとしても、心は傷ついています。塩対応にはくれぐれも気をつけましょう。

声かけ例

高齢者あるあるの話にもっていく

・「〇〇さんだけでは無いですよ。高齢にさしかかると皆さん同じなんですよ。」
「長年頑張って来た体は年齢上がると、いつまでも元気というわけにはいかないものです。どうしてもガタが来ます。肛門が緩んでしまうことも自然現象、気にしないで。」
「お風呂は気持ちいいですから、つい体の緊張が緩んで、人によっては出やすくなるんですよ。気にしないでくださいね。」

対処の説明をしながら労りの言葉をかける

・「汚れて気持ち悪かったですね。今から順番にきれいにしていきますので安心してくださいね」
・「先におしりをきれいにさせてください」
・「このまましばらく手すりを持って立っててください。疲れたら言ってくださいね、すぐ座ってもらえますので」
・「少し足を上げますが、よろけないように手すりにしっかりつかまっててくださいね」
・「もしまた汚れたかもと思ったら遠慮せずお伝えください。お着換えもありますのですぐきれいにさせてもらいますね」

自分も一緒に対処している意識にもっていく

介護者に迷惑をかけている気持ち、失禁の失敗を人にまかせないといけない気持ちに配慮した声かけとして、「ありがとうございます!」と小さなことでも協力してもらっているという意味で伝えていきます。
対処中、立ってもらっていることに対して
・向きを変えてもらったことに対して
・必要な物を取りに行っている間、待っててもらったことに対して
・伝えた通りに動いてもらったことに対して、などなど。

「○○(協力)してもらえて助かります。ありがとうございます!」


赤ちゃんのようにやってもらうだけの一方的な行為では、自分が情けなく、恥ずかしく、悲しくなってしまいます。声かけ一つで、そんなブルーな気持ちを払拭して、自分もできることがあるという自信につなげていくこともできる「ありがとうございます!」は魔法の言葉です。

ポイント

対処だけに集中してしまわずに、声かけで、本人の気持ちを和らげながら、対処の動作は速やかに行うことがポイントです。