認知症かいごブログ

トイレで役立つ介護士が行うトイレでの紙パンツ交換方法

今回は、トイレ時の更衣で「紙パンツ交換」を時短でする方法をお伝えします。

高齢者介護で、失禁対処は遅かれ早かれやってきます。認知症の人も、汚したことに気づいて、自分で何とかしようとする人は普通にいます。しかし、それは更なる2次災害3次災害に広がっていくことが多く、見つけたら速攻で対処しましょう。

まずは惨事に発展した事例から見ていきましょう。すぐに〈時短〉紙パンツの替え方を知りたい人は、デイサービスでの惨事①~③は飛ばして下に進んでください。

デイサービスでの惨事①「そこに水があったから」

自力でトイレに行き、トイレ内での介助までは必要の無かったBさん。トイレに行ったきり出て来ない。「Bさん、大丈夫ですか〜?」声をかけた職員がドアを開けると、そこには・・・

桃太郎の川で洗濯するおばあさんさながら、Bさんは、脱いだパンツをな、なんと!便器の中の水で豪快にワッシャワッシャと手洗いをしているではないか!!!

「えーーーーーっっ!!!」びっくりしたのはそれだけではなくて、トイレの壁は一面に茶色い水しぶきが飛び散って大惨事になっていたのでした。

 

デイサービスでの惨事②「触るなと言うと触るというお約束」

認知症の人は、便失禁していても汚い感覚が無い人は多くいます。そして皆さんそろって、素手で便を触り拭き取ろうとします。自分で何とかしようとした結果、便の付いた手であちこち触って、ペーパーフォルダーも、服も便が付いてしまうことに。

「手が汚れているのでどこも触らずにこのまま座ってお待ち下さい。すぐ戻りますので!」と伝えて、対処アイテムや着替えを取りに行くために、いったんトイレを出て、ダッシュで戻って来ても、ほぼ皆さん更にいろいろなところを触って被害が拡大しています。

 

デイサービスでの惨事③「落穂拾い」

トイレに行った時にはもう既に盛大に便失禁をしていたCさん。便座に座るわけにもいかず、手すりを持ってもらい、立った状態で全滅している衣類を脱がせていくことに。その最中にも、便がこぼれ落ちる始末。

必死で対処している職員の姿など気にもせず、「そこにも落ちてる」「そこも」と、いかにも職員が散らかしているふうな物言いで言って来るCさん。「いやいや全部あなたが落としてる便ですから」(心の声)

〈時短〉紙パンツの替え方

汚れた紙パンツを交換する時に、下の衣類を全部脱がずに、交換する方法があります。これは時短でもあり、本人の気持ちの負担の軽減にも繋がるので、ぜひ必要な時にお試し下さい。

①衣類を膝下までおろす

通常どおり、膝下くらいまで衣類とパンツを下ろして、便座に座ってもらいます。

②汚れた紙パンツを取り、おしも・お尻をきれいにする

紙パンツの両サイドを破って、まず汚れた紙パンツを抜き取ります。この時に脚などに汚れが付いていたら、きれいに拭き取ります。

そして、おしもやお尻もきれいにしてから便座に座ってもらいます。

③両方の靴を脱がせる(靴下は脱がなくて良い)

次に紙パンツを装着していきます。まず靴を履いていたら、両方の靴を脱ぎます。靴下は脱がなくて良いです。

④片方だけズボンを脱がせる

左右どちらかだけズボン(ズボン下も)を脱ぎます。片側は履いたままです。

⑤新しい紙パンツをズボンを履いている側から履かせる

ズボンを履いてる方の足側からズボンごと紙パンツを履きます。そしてその同じ穴に、脱いでる方のズボンも全部押し込んで通し、紙パンツを上げます。紙パンツはよく伸びるので、途中で破れることはそうそう無いですが、一応注意しながら行って下さい。

これで片側だけパンツが履けた状態になります。

⑥ズボンを履いていない側の足にも紙パンツを履かせる

次に、ズボンを履いていない方の足も、通常どおり紙パンツを履きます。

⑦紙パンツ・ズボンを上げて完了

立ち上がってもらい、紙パンツとズボンを上まで上げて更衣完了です。

汚染の度合いがひどい場合は、両脚とも脱いでもらったり、状況に応じて優先順位を変えたり、臨機応変に対応していきます。

この方法は、手早く更衣できることと、本人の気持ちが、失禁してしまった上に、下半身を全部脱がされることへの羞恥心を和らげることにも繋がります。

ただ、一番大切なことは本人に寄り添った『声かけ』です。何回も失禁をしているにもかかわらず「こんなこと初めて」と言う人は割といます。そんな時に「前もあった」など言うのはよくありません。「〇〇さんだけではありませんよ。高齢になると皆さん同じです。」と安心できるような声かけをしましょう。正確な事実よりも、安心できる言葉です。