認知症デイサービスでは、大変なことが日常的に起こっています。イラついてばかりでは仕事にならないため、スタッフは気持ちの捉え方が上手な人が多いかもしれません。
認知症の人たちと向き合うには、状況をいかに楽しく変換していくかはストレス回避の鍵となります。
今回は「認知症ツッコミどころ小話」です。
呼ばれてないんか〜いっ!!!
デイサービスでは、利用者の人は、スタッフのことを色々な呼び方で呼んでいます。
「すみませ〜ん」
「ちょっと〜」
「お姉さん」「お兄さん」などなど
呼ばれるとスタッフはすぐさま飛んでいくことが日常です。
そんなある日、
「もしも〜し」と呼ぶ声が遠くの方から聞こえてきました。
なんの疑いもなく「はいは〜い、どうされましたか?」と駆け寄って行くと、なんと続きが・・・
「カメよ カメさんよ〜」と。
聴き馴染みのある歌・・・
認知症の本人は、いたって普通に歌っていただけ。
スタッフを呼んだわけでもなく、ただ歌っていただけ。
ただ童謡を歌っていただけなのに
呼ばれたらすぐ反応してしまうスタッフの習性がゆえに、毎回引っかかってしまう。本当に呼ばれている場合もあるから。
もはや紛らわしいイントロ当てクイズである。
「もしも〜し」声がした時点で少し待つ。
「もしも〜し」と2回目の呼びかけに、よしっ!と駆け寄るも
「カメよ カメさんよ〜」 フェイント?時間差?
確信犯ではないのか?!と心の中で疑ってしまうが、認知症なだけで、意図的なものは無い、はず。
そんな中、ある時から変化が。
「もしも〜し、農協さ〜ん」
もはや童謡では無くなり、スタッフも呼ばれていないのでした。