認知症の高齢者には問題無くトイレを使える人も確かにいますが、デイサービスの中でそれは少数派です。
惨事を通り越えて大惨事になることは度々あります。今回はそんな時の心強いアイテムをご紹介していきます。
その1:プラスチック手袋
直接、便や尿に触れずに、自分の手を保護するために必須に近いアイテムです。後で手を洗えばという場合もあるでしょうが、手が汚れた時にそのまま別のものに触れることは菌の再付着にもなり、返って手間がかかります。汚れたら都度捨てて新しいプラスチック手袋を付ける方が手間も時間もかからず衛生的です。
ドラッグストアやホームセンターで、100枚入りなどで売られています。
その2:どんどん使い捨てられるぼろ布
使い古したタオルやリサイクルできない衣類などを、使い捨ての汚れ拭き用に再利用します。排泄の汚れは菌だらけ。気兼ね無くどんどん拭いて捨てられるものが便利です。
使う時には、汚れをきれいに拭き取るために濡らして使います。
イメージはおしぼり。ホットケースなどがあれば温かくて濡れた状態なので、本人も気持ち良く、一番汚れが落ちやすいです。冷たいままだと本人はびっくりしてしまうので、手で温めたり、声かけで少し冷たいことを伝えてから拭くようにしましょう。
日頃から古い布類は、捨てずに置いておき、時間のある時に、20cm×20cmくらいに裁断してストックしておくと、必要な時にサッと使うことができます。
軽い汚れの時にはもう少し小さめでも足りるでしょうし、20cm角あれば汚れた面を折り返して、1枚でも箇所を変えて拭くことができます。自分で使いやすいサイズで良いです。
体に付いてる便尿汚れを拭くのに適した布は、タオル系がNo.1。肌触りも優しく、拭き取りに優れています。衣類のトレーナーや肌着なども柔らかくて良いです。
逆に、あまり向いていない布は、目の詰まったカッターシャツのような伸びない薄い布。また、丈夫な厚い布などです。肌に付着した便などは伸びるだけで拭き取れないこともあり、拭き取りには少々不向きです。人よりも周りの床や物が汚れた時に使えるので、これはこれで用途別にあると便利です。
その3:汚れ物を入れる袋と蓋付き汚物入れ
拭き取りに使った汚れたぼろ布を入れていきます。汚れた紙パンツを捨てる場合は、汚物入れ自体も紙パンツが捨てられる容量が必要です。便のニオイは強いので、蓋付きの汚物入れで、ペダルタイプなど、汚れたぼろ布や紙パンツを入れる時に容器に触れずに捨てられるものがベターです。
値段はしますが、ニオイ漏れを防ぐカセット式のゴミ箱が、介護ストレス軽減には有りだと思います。
その4:除菌洗剤
便尿汚れに対応した洗剤を常備しておきましょう。施設では、トイレや風呂場、フロアにも使える『サニーパスター』という抗菌性の優れた弱アルカリ洗剤を希釈して使用しています。都度の希釈は面倒なので、最初にスプーン1杯に対して薄める水の量を計り、スプレーの容器に印をつけておくと、次回からはスプーン1杯を入れて、水を印まで注ぎ足すと希釈洗剤がすぐ出来上がります。ニオイが無いので吸い込まないようにすること、手はゴム手袋やプラスチック手袋をして保護した状態で扱いましょう。
他にも除菌洗剤はいろいろあると思います。扱いやすいものを選びましょう。
『サニパスター』
メーカー:サラヤ
成分:第四級アンモニウム塩、両性界面活性剤、金属イオン封鎖剤
有機汚れ(血などのタンパク質)の共存下でも除菌力有
希釈50〜100倍で使用
金属に対する腐食性が少ない
容量は、業務用5kgから480mlサイズや、泡スプレータイプといろいろあります。
その5:紙パンツ、着替え、汚れた衣類を入れる袋
トイレで更衣をすることが、度々出て来たら、トイレの中、もしくはすぐに取れるところに、紙パンツなど、着替えを用意しておくと、もしもの時に、別の部屋まで取りに行く手間と時間が省けます。認知症になると、取りに行っている一瞬の隙に、便を手で触るなど、様々なことが起こる危険性が増えます。より近いところに着替えを置いておくことで、本人の様子を見ながら、声かけをして、スムーズに更衣を行うことができます。
また、紙パンツなどは捨てますが、衣類は洗濯をするために、一緒に汚物入れやゴミ箱に入れるわけにはいきません。脱いだ衣類で床が汚れないようにいったんナイロンの袋などに入れておきます。そうすることで、事態が落ち着いてから、洗濯をするなどの、その後の段取りにスムーズに移ることができます。