今回は「認知症の高齢者あるある」の2回目のお話しです。
誰もが、若い頃にはトイレを問題無く使えていても、高齢になるにつれ、間に合わなくなったり、スムーズにトイレを使えなくなっていきます。
本人にとってもショックなことですが、認知症ともなると、出来ていないことに気づかない人も多いので、家族の見守りやサポートが必要ます。
その時に、とても大変だけど、よそも同じなの?周りはどんな状況なの?どんなふうに対処しているの?など、周りが見えると安心したり参考になることがあるかと思いますので、ぜひご覧ください。
デイサービスの職員の立場から、多くの認知症の高齢者の人のトイレで起こっている危険性、衛生面をお伝えしていきたいと思います。
失禁を自分でなんとかしようとして惨事になっている
自分の粗相を自分で解決しようとすることは自然なことです。ただ、認知症になると、気持ちがあってもなかなか上手くいきません。
結果的に、上手くトイレットペーパーを使って拭き取れず、手は便が付着して、その手で色々な所を触るため、衣類も便座も壁もあちこち便だらけになっていきます。
その汚れの悪循環から脱するのは自力では不可能です。介護者がいかに早く失禁や失敗に気づいて対処できるかで、惨事の範囲は変わってきます。
まず早めに気づくこと
気づくポイント
①便臭がする・・・おならの場合もありますが、既に出てるか、出そうという場合があります。
②立ってする人が座っている・・・便をするために座っているのはいいのですが、既に出ていた場合は自力できれいにするには難しく、便の切れが悪くなるとお尻もきれいに拭けていないため、汚れたまま、ま~いっかとパンツを履いてしまいます。
使用するトイレットペーパーがとても短い
多くの人がヘタしたら20cmほど。切り込みの点線の1~2回分くらいの長さしかトイレットペーパーを取りません。これは、認知症に限らず高齢者あるあるなのかもしれませんが、もったいない精神が共通している世代なのでしょう。
いくら拭けていると思っていても、結果的に手指に尿や便が付いてしまっているため、不衛生です。
人によっては多めに取る人や追加で取る人もいますが、1割くらいかと思うほど、圧倒的に皆さん紙量が少なく、わずか5cmほどで済ます人も。もはやトイレットペーパーより、手で拭いていると言っても過言ではありません。
節約の精神は、ある程度は仕方ない部分もあり、後でしっかり手を洗ってもらったり、手の消毒を行なってもらいましょう。
9割は手をきちんと洗えていない
「手、洗えてないですよ?」「手、洗ってないですよ」
これは介護の仕事に就き、衝撃的な現実の1つでした。
誰もかれもが、まともに手が洗えていないです。手をきちんと丁寧に洗えている人は1割の希少な人です。
指先だけ濡らす程度の人がほとんど。トイレットペーパーできちんと拭けていない上に、きちんと手洗いができていない状態の人が多く、その手で色々なものに触れているため、衛生上放っておきたくない問題です。
・汚れていないと思っている人
・洗えていると思っている人
・片手しか洗わない人
実に様々な感覚を持っているので、自分の常識や一般常識は、いったん置いといて対応しないと解決しません。
「今からお茶ご用意しますので、丁度水道がありますね、そこで手を洗って出ましょうか」
「ちょっと落ちてない汚れがありますね、ぜひこれ使って下さい(と手の上に石鹸を否応なしに出す)」
「インド人の不浄の手という感じですね。今ここでは右手も左手も、両方の手を洗ってくださいね。(後ろから次左手ね!と洗ってほしい手をリクエストする)」
便座の低温ヤケドには注意
温められる便座を使っている人は、低温ヤケドに注意です。なかなか出ない、単にしばらく座っているといった時には、いったん便座を暖かくするスイッチをオフにしておきましょう。
高齢者の皮膚は薄いので、これくらいで?というような温度でも低温ヤケドをする可能性はあります。
安全に快適にトイレを使ってもらうために、座っている時間が長いなと思ったら、便座の温度をオフにしましょう。
認知症の高齢者のトイレ事情は、人の数だけ事情があるので、また追記でご紹介していけたらと思います。