親の認知症予防

独居の親が自動車事故を起こしたら②

今回は前回の続きで、自主返納を渋る親が、事故によって、ようやく自主返納に至った話の2回目をお話しします。

今年に入り2回も独居の親が車で事故りました。あろうことか、いずれも加害者。
運転技術の衰えは、徐々に来るものだと思っていましたが、実感としては一気に来た感覚です。1回目は昨年の夏、他人の駐車場のブロック塀をこすった事故でした。そして2回目が来るとは・・・。

事故2回目

昨年の師走に親が今度は車で人の車と接触事故を起こしました。1回目からわずか半年後です。渋滞した道で、右折車を入れてあげた時に、右折し終わっていないのに、進んでしまって接触したというもの。

あろうことか、本人は気づかずにそのまま直進して去ってしまい「当て逃げ犯」となりました。

出先から帰宅し、警察から電話があり、そこで初めて自分が当て逃げしたことを知り出頭したらしいのですが、私が一連の話を聞いたのは自動車保険の担当者からの連絡でした。

スピードは出てない状況で接触した際のお互いの車の破損。

親の反応が終わってる

親は当たったことに気づいていたのか、いなかったのか、あやふや。気づいていて「たいしたことない」と思ったことがうかがえるような物言い。車と車が当たってたいしたことないわけがない。

また、渋滞で止まりにくい状況だったことは想像がつくが、そこでいったん通り過ぎても現場に戻らず、そのまま自分の出かけ先へ行って帰宅していたということも、当たったと気づいていたなら、重大な判断ミス。

相手の人のドライブレコーダーから親の車のナンバーで特定されていました。

独居の高齢者ゆえの警戒心をこんなところで発揮

警察から自宅へ電話がかかってきた時に「なんで警察から電話が来たかわかりますか?」の質問に「わかりません。あなた本当に警察ですか?」と答えたそう。

事故して通報されているとはみじんも思っていなくて、警察に対して、高齢者を騙そうとする詐欺師かもしれないと警戒していたらしい。

確かに警察を名乗っても油断してはいけないので、その警戒心は良しとするが、事情を説明された時の反応が終わっていてびっくりした。

加害者だという自覚が今ひとつ無い理由

警察から当て逃げで被害届が出ていて、その状況を聞かされたにも関わらず、自分が右折車を親切に通してあげたということを先に言っていたらしい。

いやいや、あなたの親切は関係ない。右折で通り切る前に前進してぶつかったこと、そのまま去ったことが大きな問題なのですよと言っても親の反応は煮え切らない。

どうやら、車が当たる感覚の記憶はあったらしく、自分の中では自分から当たったのでは無く、相手が曲がる時に当たったのではないか?!と思っていて、当たられたけど、たいしたことないかと思ってそのまま走り去ったような供述をしていた。

私はドライブレコーダーの映像を見ていないですし、事故の瞬間がわかるように映っていたのか不明。単に車のナンバーを特定するだけの可能性も否定できません。

最初から親に非があると思い込んでいましたが、親の言い分を全く信じずに、一方的に加害者にしてしまっていいのだろうかと、親の供述を聞いて思うところが正直ありました。

ただ、自分が当たったとしたら、わざわざ被害届を出すか?ということ、その道が渋滞していたということは目撃者はたくさん居たはず。ドライブレコーダーに事故の瞬間が映っていなくても、親が加害者である事実を物語るに充分な証拠になるでしょう。

本人は腑に落ちない様子でしたが、自覚が無いことが余計に危機感ゼロで危うい。次は人身事故につながる危険性が跳ね上がってることには自覚があり、免許の自主返納を強制執行することに意義は唱えませんでした。

自主返納は大丈夫な時期からボーダーラインを決めておく

高齢者の自主返納は、年齢で一括りに線引きできるものでは無く、住環境にもよりますし、個人の運転技術や能力の差にも開きがあり、個々に返納時期は見極めていく必要があります。

運転時に限らず、様々なシーンでの判断能力を注意深く観察して、普段から自主返納に向けて早めに動くことをおススメします。

免許返納のボーダーラインを家族で決めておくと、本人が納得しやすいでしょう。我が家は、していたつもりですが、甘かったです。

今回、人をケガさせることが無かったことだけでも不幸中の幸いでしたが、相手方からすれば、師走の時期に高齢者の運転ミスに巻き込まれて散々な年越しだったと思います。

運転している高齢の親を持っている人は、こんなことにならないようにと願っています。

免許返納は家族が同行した方が良いわけ

車の免許返納をするには、「警察署」もしくは「運転免許センター」に出向きます。
持ち物
・免許証
・マイナンバーカード
・運転経歴証明書の必要な人は1200~1300円ほどのお金

運転経歴証明書は、運転免許証と同じく、本人の顔写真を撮って載せるため、「顔写真」が必要になります。運転免許センターでは現地で撮れますが、警察署には写真を撮るところが無いため、自分で用意しなければいけません。

免許の自主返納には家族が同行した方が良いです。自主返納に至るくらいの高齢者にはハードルが高いからです。

家族が同行した方が良い理由

❶窓口を渡らされる、建物によっては階をまたいで移動があるなど、いくら係の人が教えてくれたとしても一人であちこち回ることは難しい。
❷質問事項に本人直筆で答えて提出する紙をはじめ、住所、名前など、記載事項がいくつかあり、他にも並んでいる人がいるため、係の人がつきっきりで対応は難しい。
❸運転経歴証明書がほしい場合、画面操作があり、係の人が誘導してくれるが、流れ作業的なので言われていることの理解が難しい。証明書発行費用を現金で払う必要がある。
❹待ち時間も含めて、免許の更新ほどではないが、時間がかかるため、高齢者は疲れる。

家族が同行することで、ただでさえ時間がかかる手続きがスムーズに行えます。時間がかかっても一人で行けばいいという家族の人もいるかもしれませんが、高齢者の心身の負担は、介護への道を加速させるだけなので、良いことは一つもありません。

ただ、一人でも難なく手続きをこなせる高齢者もいらっしゃると思うので、自分の親がどうなのかをよく見て判断してください。