認知症かいごブログ

おばあちゃんの肉にかんするエトセトラ

今回は、お肉好きなのねとクスっと笑えるお話を2つご紹介します。

コートの新しい表現を見出したおばあちゃん

デイサービスで過ごす時間もお開きとなる夕刻は、みんな早く帰りたくてソワソワしてきます。やっぱり我が家が落ち着きますよね。

そして、いよいよ帰り支度が始まると、ひとりのおばあちゃんから、衝撃的な言葉が。。。

行きに着て来たコートを羽織ってもらっている時のことです。歩行が不安定で移動は車いすのおばあちゃんが、自分のコートを早く取ってもらおうと、立ち上がろうとしています。近くに居たスタッフの一人が、転倒しないように、すかさず傍に駆け寄ります。

おばあちゃんは、自分のコートがどれかを教えてくれようとしていました。職員は誰がどの上着かはきちんと把握していますが、おばあちゃんの言葉に耳を傾けます。

すると・・・
「あー、(端から)2番目」
「にくいろの」と指を指す。

傍に居たスタッフは、おばあちゃんの方を2度見した上で、さらに2度聞きしてしまう。「に、にくいろ⁈」「肉色⁈」

私は、コート側に居たので、彼女のコートを取って見ると、確かに茶系…焼いた肉色?と言えなくもない…

初めて聞く色の表現に、彼女の声が聞こえたスタッフは皆、肉の消化ならぬ理解の消化に時間がかかったのでした。

因みに、このおばあちゃんの好きな食べ物は「トンカツ」です。

肉好きのおばあちゃん達は『肉』への熱い想いが、きっと強くあるのでしょう。

もう肉にしか見えない

デイサービスのレクリエーションで、干支の絵札をめくって『十二支』を揃えるゲームをした時のこと。

今日は何月何日と例え言えなくても、自分の歳は忘れても、皆さん「ねーうしとらうーたつみー」と『十二支』を順に言うことは、身体が覚えているように、頭が記憶している人は多い。

ゲームでは「ねーうしとら…」と各自まぁまぁ大きめの独り言を言いながら、揃えている光景は、どこか微笑ましい。

しかしよく見ると、言葉とは裏腹に、絵札は必ずしもその順にはなっていない。認知症だから。もしくは干支の絵がリアルでは無い可愛いイラストだから。まぁ疑問も発生していないのでそっとしておこう。

そんな中、まちがうこと無く『十二支』を言える一人のおばあちゃんが、何度も手持ち札を揃えていたのだが…何かがおかしい・・・何だろう…

よくよく聞くと、
ネズミの絵札を取り「ねー」と言い、
次に牛の絵札を取り「ぎゅう」と言っていた・・・ぎゅ…ぎゅうってか

手持ちの絵札が増える度に、何度も繰り返し、ネズミの絵札を取り「ねー」と言い、次に牛の絵札を取り「ぎゅう」と言う。

絵札から手が離れると「ねーうしとらうー」とソラで正確に言っている。

まさに『記憶』と『現在』のハーモニー♫

おばあちゃんにとって、牛の絵は『牛肉』にしか見えないのでしょう。

だって好きな食べ物は?と聞くと「肉」と答えるくらいですから。