今回は「財布を持たない認知症高齢者」とお金にまつわるお話しです。
認知症になると、お金の管理が難しくなっていくため、ご家族や後見人が代行管理を行うこととなります。手持ちとして本人が持っているお金は、管理者が渡しているものと思いますが、人によっては、その行方は非常に危ないものとなっています。
つい先日たて続けに起こった出来事です。それは認知症専門デイサービスに通う利用者がお風呂を利用する時に起こりました。
基本的に入浴利用時は、持参の衣類に着替えてもらうのですが、ご家族が用意しない限りは認知症の高齢者が自分で着替えを準備することは難しく、着替えが無い、揃ってないということはよくあります。
脱衣した衣類やタオル類は持ち帰っていただき、家で洗濯をすることになっていますが、これまたご家族が洗濯をしない、独居で洗濯できないなどといった事情の利用者は、洗濯サービスは本来無いものの、見過ごすこともできず、施設側で洗濯を行っているケースが複数あります。
施設側で洗濯を担うことになった人の衣類は、混ざらないように人ごとに洗濯ネットに入れて洗濯をします。
乾燥が済んだ洗濯物を仕分けして片づけている時に、何と、この洗濯ネットに「お金」が入っていたのです。
入浴時間は常にバタバタなので、確認はしているものの、見落としが発生しました。
ポケットにじゃらじゃら小銭を入れてるおじいちゃん。その時に関わったスタッフは、ポケットに手を突っ込んだり、ズボンを振ったりして確認はしていたと言っていましたが、そのズボンにはポケットが意外にも沢山あって、おそらくその沢山あるポケットの1つに入っていたのでしょう。
私も、そのおじいちゃんと関わった時に、脱いだそのズボンから小銭が落ちてきたから注意して確認しましたが、そうでなければ念入りに確認まではしていなかったかもしれません。男性にはよくありがちな、お金を直接ポケットに突っ込んでいる人だと認識した今は、しっかり確認しています。

次は、ティッシュに包んだお金をカバンやズボンのポケットに入れてよく持って来るおばあちゃんのケースです。
このおばあちゃんの場合は、今回、脱いだ靴下にそっとお金を隠していたようで、これもまた洗濯乾燥後に洗濯ネットから発見されました。
このおばあちゃんは、家で洗濯ができる人ですが、着替えの衣類で混乱することが増えたことにより、最小限の一部ですが施設で洗濯することになった人です。
おばあちゃんが、このまま家に持ち帰っても、洗濯時は靴下と一緒にお金も洗濯されていたでしょう。
財布を持たない高齢者の場合、お金をティッシュに包む人は割と多く居そうなイメージがあるのですが、認知症になると、おそらくそのまま捨てたり、どこかへ失くしてしまったりということが発生していることが考えられます。
そうしたことが「誰かが盗った」といった言動になっていくことも十分にある話しでしょう。
洗濯ネットから発見されたお金は1万円、8千円、1千数百円と、失くすには高額。8千円が発見された時は、本人は「5万あったのが無い」と言っていたそうで、本人の記憶に正確性は無く、トラブルになりかねないので、お金は家で保管してもらえたらと切に願います。
もし、認知症高齢者のお金の管理をしているという人がいたら、渡すお金のしまい場所を決めておくのも1つの策です。何もしなければ、渡したお金は本人が使う前に消えてしまうかもしれません。
