認知症かいごブログ

認知症高齢者が「とりあえず」しまう隠し場所

認知症高齢者は「物」や「お金」を自分でどこに片づけたのか、わからなくなってしまい、「あったものが無い!!!」となることが多々あります。物盗られ妄想になると、疑心暗鬼で周りを疑うようになりかねません。

今回は、そんな認知症高齢者が心穏やかに過ごせる一助になるお話しです。

とりあえずここにしまっておけば安心

誰にでも、とりあえずここにしまっておけば安心という場所はあるもの。それは人によって違いますが似たり寄ったりです。

認知症高齢者が「とりあえず」しまうであろう場所を知っていれば、一緒に探すフリをしながら、自分で見つけ出せる手助けをすることができます。自分で見つけることができれば、他者を疑う気持ちはいったんは収まります。

布団の隙間は秘密の隠し場所

どろぼうに見つけられないために、ここなら安全という場所の1つ「布団」。押入れの布団の隙間に突っ込んでは安心して、その後忘れてしまいます。布団を敷く度にバラバラといろんな物が出てきているはず。それらを見て、思い出すのか、びっくりするのか、それは本人のみぞ知るところです。

忘れたら最後、粗大ごみと共に去りぬ

普段から使っている布団の隙間や、空き箱や器など空いている物に入れたりは、まだ見つかりやすいですが、ソファーの隙間の奥の奥にお金を隠す人が居ます。これは忘れたら最後、ソファーの端から端まで隙間を確認して暮らしているなどそう居ません。先に訪れるであろうソファーの処分時に一緒に捨てられてしまう未来しか見えません。

認知症高齢者が家族にいる人は一度点検してみましょう。お金でなくても何か突っ込まれていたら、そこはその人にとって隠し場所に1つになっている可能性があります。

ティッシュに包まれたら超危険!

高齢者は、お金や小さくて細かい物をティッシュに包んでしまうことがよくあります。そうなると見た目は「ゴミ」です。クシャっとなったり、折りたたまれたティッシュを見かけたら、お金、小さな物、大事な物が包まれているかもしれません。捨てる前に確認すべし!

お金は特に盗られたと思いがち

自分でどこかにしまったとしても、思い出せなかったり忘れたりすると、あったはずのお金が無いのは誰かに盗られたからという思考に直結する人は一定数います。家に出入りしてるヘルパーや身近で介護している家族に矛先が向くことも多く聞かれる話しです。「盗られた」と言い始めたら、否定せずに一緒に探すという行動をとると解決しやすくなります。

たとえそれが架空の失くし物で見つからないとしても、気持ちに寄り添う言葉かけをしながら一緒に探すことで、自分の言葉を信じてくれて一緒に探してくれていること自体に安心し、次第に落ち着いていきます。

歯を磨いた歯ブラシが毎日消える?!

歯を磨いた歯ブラシが毎日消える現象。これは、使用後に元の位置に戻せないという認知症高齢者にありがちな行動です。家族は使った後なので洗って元の場所にしまってほしいのに、毎回歯ブラシは消えてしまいます。

発見されるのはお風呂場やトイレ。真実はわからないですが共通点は「水回り」。本人なりに戻しているつもりなのかもしれません。

靴下はペアであるとは限らない

脱いだ靴下がなぜかいつも1足ずつバラバラな場所で発見される不思議。洗濯機前はわかる、脱いだから洗濯するという思考。台所は?毎回宝探しならぬ汚れ物探しにストレスを感じずにはいられない介護者や家族。

何も考えずに脱いだ場所に放置する場合もあれば、運んでいる途中で忘れて、とりあえずその場に置いたり隠したり。もしかしたら法則性があるかもしれないので、根気よく行動を見て、不規則ならもう「無」の境地で手際よく回収してしまいましょう。

冷蔵庫はタンスと同じ

冷蔵庫って、扉を開けると見やすい棚になっているせいか、全く冷蔵品で無い物までしまわれている場合があります。なぜか「マスク」を冷蔵庫にしまう認知症高齢者は何人もいて、デイサービスへ行くのにマスクが見つからないと冷蔵庫を確認してもらうことがあるほど。高齢になると冷蔵庫に食料がたくさん入っている人は少なく、空きスペースに物を入れているだけなのかもしれません。

粗相をしたパンツは決して見つかってはいけない

排泄に失敗してパンツを汚してしまった時に、汚れたパンツを隠す人は結構います。布団の中、タンスの中、洗濯機に汚れたリハビリパンツを入れたケースでは、それを知らずに家族が洗濯機を回した結果、リハビリパンツの中の高吸収性ポリマーのゲル状の成分が他の衣類に付着してとても大変なことになったという人もいます。

粗相をした本人は、排泄に失敗したことを恥ずかしくて言えないことが多く、わかっていたとしても自分の尊厳を守ろうとしてしまいます。

その場合は、高齢になると皆同じということを伝えましょう。自分だけでは無い、高齢になったら誰しも皆同じになってる、と周りも皆同じ、これまで頑張ってきた体の自然な流れだといったことを伝えると安心につながり、徐々に排泄の失敗を「仕方ない」と受け入れていく気持ちにもっていきやすく、隠す行為も減っていくでしょう。