認知症かいごブログ

便器の中に手を入れる認知症高齢者

今回は認知症高齢者のトイレの中でしがちな行為のお話しです。

手を洗う場所がわからない

つい先日、デイサービスでの出来事。一人でトイレを済ませることができるおじいさんがいます。転倒の危険性はまだ無い人なのでドアの外で見守ります。

いつも何かにつけて気合の言葉を発しているおじいさんが、トイレの中で「そりゃー」と声を出していました。そっと中を確認すると濡れた手を前に出しながらドア方向に向きを変えているところでした。

トイレを流すボタンがわからずそのまま出てくる人は結構いて、おじいさんもその一人なのですが、今回手を洗う方の水洗の音がしなかったにも関わらず、おじいさんはどこかで手を洗った様子。ん???

嫌な予感がして「手をどこで洗いましたか?」と聞いてみたら、「この辺とかこの辺とか」と、トイレットペーパーや便器を手で指していました。

どうやら手を洗うところがわからず、水がある便器の中で手を洗った様子。便器の中は流していないので尿が黄色く残ったままです。

おじいさんには「ここでも手を洗いましょうか?」と石鹸で手洗いをしてもらった後、アルコール消毒をしてもらいました。

手を洗わずに出て来る人も居る中、きちんと手を洗おうとするおじいさんは良いことです。手を洗う場所さえわかればスムーズに手を洗えるので、今後は用を足したタイミングで声をかけていこうと思います。

拭いたトイレットペーパーを捨てる時に指まで便器の中に浸けてしまう

認知症高齢者はトイレで用を足した後、トイレットペーパーで拭ける人は一定数いますが、便器の中に捨てられる人はそこからまたできる人が限られてきます。

拭いたトイレットペーパーをサニタリーBOXに入れる人、トイレットペーパーホルダーの上に置く人、車椅子の人は車椅子の座面に置いてしまったり様々です。

人によっては丁寧に便器の中に置こうとして、明らかに指が下に付いてしまっている、水の溜まったところに付いてしまっている人がいます。

捨てる場所がわかって、丁寧にしていることなので、後はまた手洗いとアルコール消毒で手をきれいにすることにしています。

汚れたパンツを洗い出す

一人で用を足せるおばあさん。なかなかトイレから出て来ません。コンコンとノックして中を確認してみると、汚してしまったパンツを脱いで、手洗いの水道では無く、便器の中の水で手でもみ洗いしているところでした。

女性なので、これまで家族の洗濯や汚れ物を洗ってきた人生、自分が汚した物は自分で洗うのが当たり前だったのでしょう。

ただ、それが便汚れで、便器の水も汚い状態で、その辺の理解もできず、ただ汚れた物を洗うことに必死になっている様子でした。

汚水が自分にも壁にも周りに飛び散り大惨事でしたが、自分で何とかしようとする認知症高齢者の人は多いので、早めに気づけるかが惨事を未然に防ぐことになるでしょう。

認知症高齢者は、自分なりに考えて行動をしています。結果的に汚い行為になったとしても、場所がわからない、手順がわからない、目に見えるもので何とかしよう、といった選択肢が無い状態がゆえの行為と考えられます。

未然に防げるにこしたことはありませんが、防げなかった時に、認知症高齢者と介護者の両者の気持ちが治まるような対処や声かけを心がけられたらと思います。