認知症かいごブログ

認知症高齢者の独居生活はどこまで可能?

認知症高齢者の独居生活はどこまで可能?そんな疑問と心配が浮上しています。

認知症専門デイサービスを利用する一人の独居女性。90歳超えていて、耳は遠いが足腰はしっかりしています。とはいえ認知症はゆるやかに進んでいます。子ども世帯が近くにいますが最低限最小限の関わりしかない様子。いつまで独居生活させるのか心配になる一人です。

朝に迎えに行っても、すぐには出られる状態になりません。独居ゆえに自由度が高く、急かされると機嫌を損ねてしまいます。

朝、時間のかかるそのおばあさんは送迎車で最後に迎えに行きます。家族の送り出しのある他の利用者宅は家族が準備していてくれるので時間が組めますが、家族の送り出しの無い場合、利用者は時間や予定の概念が説明しても難しく、連れ出すのに時間がかかります。

「用事があるから」「今日は体調が」「そんなこと聞いてない」と自分の今しようとしていたことを優先したり、出たくない理由を連ねたり、目の前のことが1つ1つ気になっていっこうに進みません。

どんなことに気になって支度が進まないのでしょう。

仏壇編

「仏さんに何かやらな」と冷蔵庫から無造作に菓子や飲みものを出して供えようとしますが、冷蔵庫を開けた時にまた違う物が目に入ると賞味期限が気になったりと進みません。

「仏さんの花を今から買いに行こうと思ってたのに」といった話が堂々巡りになってしまう。

認知症の独居生活で炊事の火は使わないようにされてるが、仏壇には本物のロウソクを点けている?!

洗濯物編

出る前に外に干している洗濯物を取り込もうとするが、取り込むだけで時間がかかってしまう。夕方まで雨が降らない時は帰って来てからと提案しても目の前のことしか見えていなくて周りの声は聞こえていない。

洗濯物が気になってベランダに出たら、今度は植木の水やりをしだしたり、その都度その都度、別のことが気になり、エンドレス状態。

迎えに行った時に洗濯機が回っている。そのまましておくと干せないけど脱水までは可能なのに、伝える前に洗濯機の中に水に浸かった状態でスイッチを切ってしまう。帰って来た時に混乱しないか心配になる。

朝ごはん編

ごはんをこれから炊こうとお米を水に浸けていた。窯ごと冷蔵庫へ入れておこうと提案したら窯にかぶせるものをとっかえひっかえして終わらない。

迎えに行ったら、炊飯器のごはんが炊けたところ。本人は炊飯器のコンセントだけ抜いてそのまま出ることに。これ炊けてなかったら炊いてる最中にコンセントを抜いてしまう気がする。

仏壇用のごはんを片づけようとして、みずやの引き出しにしまっていた。そこで口を挟むと余計にまた違う話になっていくので見守るしかない。

朝ごはんを食べ始める。その間、玄関で待つ。

お金編

いつも職員に志を渡そうとする。断ると「他の人もしてるでしょ?」となかなか引かない。そのやりとりだけで時間が過ぎていく。

デイサービスではお金は要らない。持って行っても失くしたら大変だから置いて行ってと何回言ってもお金が無いと落ち着かないのか持っていこうとしてカバンに入れたりポケットに入れたりを繰り返して「もっとあったはずやのに」と急変していく。

お金を置いて行って下さいと言い、応じてもらえた時は、それはそれでお金の置き場所が定まらない。ソファーの隙間、布団の隙間、タンスの引き出し、みずやの引き出しとエンドレスでウロウロしている。

鍵編

家の鍵をよく失くします。だいたいどんな所に置いてるか、しまっているかを想定して一緒に探して見つけていくのですが、最近見つからない。もしもの時の合鍵も失くすという無用心な事態になってます。

戸締まり

認知症とはいえ、独居ということで安全確認の意識が高めなのがすごいところ。抜けるコンセントは全て抜きます。せっかく出ようとしていても、小さなホコリでさえ気になっては部屋の中をグルグル回っています。

せっかく玄関へ続く廊下まで出ても「ちゃんとしたかいな」と何度となく戻っていってしまいます。

「火は使ってへんけど火事出したら大変やしな」「鍵ちゃんとした?」「なんかあったら(連れ出した)あんたのせいやで」と最後には責任を押し付ける言葉をいつも言っています。

マンションのオートロックの玄関では部屋番号を入れて呼び出しをしても、ドアの解除をすることはできません。

電話も耳が遠いため今では一切出ることはなくなりました。

元々家族で住んでいたマンションなので一人では広すぎて、いつも「一部屋あればいいんやけど」と言っています。

90歳過ぎて、認知症で違う所に引っ越すとなると、介護福祉施設となるでしょう。家族にとっても大きな決断です。

なぜ家族は動かない?と疑問に思うところでしたが、まとめてみると、まだ動けないのかもしれないという考えに至りました。

今の状態

忘れて何度も同じことを言う、会話はできる、情緒が不安定、無自覚でいろいろしているが子どもに頼らず自分で解決している、この歳で排泄の失敗が無い、火は使わないが家事はしている、供花など決まった物かもしれないが買い物もしている。

寂しいという高齢者は多いですが、このおばあさんの場合、目の前のことにとらわれていくので一日がそれなりに過ぎていくのでしょう。

ご本人が言うように「火事を出したら」もそうですが、ご近所とトラブルになったり、排泄の失敗が出て来たり、無自覚でしたことへの混乱が増えた時に独居生活の継続は厳しくなってくるのではないでしょうか。