歌を歌うのは脳に良いことは周知の事実。
とはいえ、私自身が昔から音痴がゆえに歌が苦手。カラオケは歌の上手い人たちが酔いしれるところで、歌のヘタな人が皆に歌を披露する場では無いという経験上の認識を持っている。
ところが、この夏はカラオケに行って来た。
毎年お盆は実家でお寺さんの棚経があり、棚経が終わってハイ解散というわけにはいかず、親子3世代皆で一日過ごすことになっている。
アクティブにどこでも車で連れて行けない種族の私は毎年途方に暮れる日。
今年は娘がカラオケを提案してきた。娘はカラオケ好きなわけでは無く、私と似たり寄ったりでカラオケとは無縁の生活者なので、現実的な状況での提案と推測。
カラオケか…とやや気が重い。庶民なのでお盆料金高いとか、今の機会操作がわからないとか、いろいろな思いがよぎっていく。
親は行き先を考えることはせず丸投げ。歩くのは嫌がる。カラオケの提案は理にかなっているかもしれない。
そんなわけで親子3世代でカラオケに行くことになった。
親は歌うのは好きで、私がまだ子供の頃は家にカラオケセットがあって家族の中で一人ガンガン歌ってたのを思い出す。昭和だなぁ。今そんなことしたら近所から確実に騒音で訴えられる事案。
いよいよカラオケ入店。親の反応は嫌がる素振りも無く、単に何もできないから傍に居るだけスタンス。
意外にもサクサクと娘に頼らずに受付画面を進めることができ、いざ入室。何だか豪華っぽい今どきのカラオケ室内に驚きを隠せない。お立ち台と言うと突っ込まれそうだが、ステージが部屋の4分の1を占めている。ソファーもやわらかい(バスの座席イメージしてた)。画面が2画面でこっちは何用???しなこさんがちょいちょい出て来て何かしゃべってる。
歌を選ぶ本はもはや無く、全てタブレット。日本語は読めるのに情報量が多すぎて画面の全てが見切れないのは私だけ?
それでも何とか必要最小限の歌を選んで予約することができる自分を褒めてあげたい。
音痴だというのについつい採点ボタンを設定してしまう。
とりあえず娘に先に歌わせておいて、親の歌う曲を入れていく。親は何もしない割りにこだわりだけは強いので、本人に聞きながら、いつもリピートして聞いている曲を入れる。
親が歌う曲が早速流れて来たのでマイクを持たせると、「声が出にくいし」と立ち上がる。歌えないじゃ無くて、歌うために立ったのね。
娘は「おばあちゃん歌えるの?」と心配して何度も私に聞いてきたけど、「まぁ見てなさい」と言う。
昔、特によく歌ってた曲だったこともあり、久しぶりのはずなのに、堂々と歌い上げていた。時の流れもなんのその。
そこから覚醒したのか、多少怪しい歌も気にせず歌いまくるまでになり、私の入れた曲も「それ歌いたい」と言い、一緒に歌おうとしたら、そこは私が1番歌うなら、親は2番と、あくまで1人で歌ってみたいということで、いろいろ驚かされることばかり。
日ごろの音読ドリルの成果もあり、しっかり声も出て活き活きと歌い上げ、自分の採点を書き留めていき、評価まで読んで気にとめていた。
あぁこんなことなら、もっと早くに連れて来てあげたら良かったなぁと思うばかり。
結局のところ、やはり私が一番ヘタで、親が一番高得点を出していた。
時代と共に歌う機会が、すっかり無くなった親が再び歌に覚醒した日。
