認知症高齢者同士のレクリエーションは時として白熱という名の暴走を呼ぶ。
かるた
整列させたいおじいさん vs 正統派おばあさん
かるた札をまんべんなくバラバラに広げて置いていく傍ら、必ず誰か一人はバラバラの向きが気になり整列させています。きちんとしたいのは、おじいさんが多いのは気のせいでしょうか。いたちごっこになるため、ある程度で職員は諦めるけれど、目についたおばあさんは「並べない!バラバラせなあかん!」どちらも引かない時は、とっとと開始してしまうにかぎります。
開始すると自分に向けて札を整列させていたおじいさんは「ずるい」という目で見られ、勢力は縮小していくのでした。
立ち上がり vs 着座
札を何としても取りたいがために立ち上がる人が必ずいます。それを注意する人もまた中腰で取っているのでどっちもどっち。「ちはやふる」さながらに、遠くの札まで瞬間的に手を伸ばしバシッと取っていきます。その手の勢いは凶器レベルです。自分に近い遠いは、他者も同じとわからず、自分だけ見えにくい、自分だけ向こうの札が届かないから損、といった具合です。何を言っても聞こえているのかいないのか、本人の耳には届いていない・・・
結局、座っている人が不利になってしまうので、こっそり札を見つけるサポートをすると、猛者たちの嗅覚ならぬ聴覚は鋭く、職員の助け船の声だけは聞こえるようで、先に取ってしまうのでした。

ボールパス
全国目指してますか?
スポーツが得意、運動神経が良い、やたらストレスが溜まってる、そんな高齢者が白熱してしまうゲームの1つ「ボールパス」
熱血コーチのように「ハイ、次そっち!次はそっち!」と特訓してるかのようにパスを繰り出しているおじいさん、「おりゃ~!!」「そりゃ~!!」という掛け声と同時に渾身の力を込めてアタックをしているおじいさん、無言で猫パンチのように鋭いパスを打つおばあさん、真横という至近距離でも思い切り打ち込んでいるおばあさん、そんな人たちが勢ぞろいした時には全国目指せるんじゃないかという活気と殺気が蔓延しています。
自分からのパスが暴走気味なのは、ある意味わかるのですが、皆さん、認知症高齢者ですよね?と疑いたくなるくらいの受ける側としての反応の良さ。とてもやわらかく思い切り当たっても痛くないボールとはいえ、強くて速いボールに、皆さんついていけてることがスゴイのです。キャッチもするし、強すぎてボールがクラッシュしてしまうことも多々。外れた時も手だけは追いつこうと伸ばしてます。

一人ではできない体験
家に一人で居てては決してできないのが、デイサービスでのレクリエーションでの体験です。スポーツや勝負ごとが好きな人にとって、頭や体が活性化され、何より楽しめます。
やや狂暴な人もいますが、それもまた身を守るために防衛本能が現れたり、負けるもんか!と意欲的になったり。意外にも狂暴な人は、とても弱いと感じた人には何もしないし、男性は女性に優しかったり、男性相手には思いっきり投げつけるのに、強い女性には従者のようにボールを捧げていたりと、様々な人間模様が見られます。
どんな人でも、他者と関わることは脳に刺激を与えます。認知機能の低下を緩やかにしたり、残存能力の保持に繋がっていく効果を期待して、ぜひデイサービスを利用していただけたらと思います。







