今日も認知症の高齢者たちは要介護度に関わらず十人十色の花を咲かせています。
緩やかに、時には急激に落ち、それでも自分らしく生きています。
自分が自分でわからなくなった時、じわじわ花開くのが「性格」
アクが強い、キャラが濃いのは元々の性格が煮詰まっているからなのか、一見、物静かに 見える人も、また違う一面がチラリ。
もちろん平和で穏やかな人はいます。ほんの一握り・・・
アクの強い認知症の人たちを見ていると、自分の親の行く末と、さらにその先にある自分の行く末がとてつもなく憂鬱になっていく。
リーダーシップを発揮していたであろうおばあさん
レクリエーションをする時、あなたは職員ですか?と言わんばかりに、おばあさあんは職員が説明する前に率先して皆に説明したり、体操の時などは職員より先に見本をすっ飛ばしやり始めます。
テレビのニュースが気になったら、隣の席の人が興味無くても構わず説明してあげているのはしょっちゅう。
自分は賢いという自負があるのか、頭の悪い人が嫌いと全面に出ている困ったさん。同じことばかり言う人、理解力が落ちてる人、自分も同じ部分は棚に上げて見下す発言が出てしまう。話しかけられようものならガン無視という徹底ぶり。
職員が関わると影を潜め、同志が居ると復活して見下し放題の姿は、まるで学生時代、会社員時代もそうだったんだろうと想像が容易にできてしまうところ。
とはいえ、明るく活発、何でも自分でしようとしたり、先導切っていく姿は頼もしい限り。

人当たりの良い営業マンの行く末
会社員時代、銀行の営業で活躍していたおじいさん。いつも明るく人当たり良く、敬語で接してくれています。
計算はお手のもの。万の位でも暗算できていたのだけど、この数ヶ月であれよあれよと計算力は落ち、理解力も落ち、明るさと丁寧な受け応えだけは健在といった具合です。
職員は知ってしまった裏の顔。
デイサービスに来ている時はニコニコと愛想が良いけれど、外で気を遣う反面、家ではデイサービスにも行きたくないと言う日が多く、家族の前では声を荒げている様子。職員が関わると外の顔になる体裁を取り繕う大人対応。
ある朝、職員が関わっても、裏の顔がひっこみません。しばらくして落ち着いたら元に戻ったものの、これから先、おじいさんの本音の一人で気ままに過ごしたいという気持ちが爆発していくのかもしれません。
デイの他者と関わり合うメリットデメリットを考えながら、できるだけ本人が楽でいられる時間、気の合う人と談笑できる時間、体を動かすことでのストレス発散の時間と、バランスをとることが鍵となりそうです。

指図されるなんて大嫌い!
人の言うことには従いたくない、全部自分で思った通りにしか動きたくない!といったおばあさん。
仕事では職場をまとめる上司で、人を指図する立場。自分は何かをしてあげる立場であって、何かをしてもらう立場じゃない!といった心の声が聞こえてきそうです。
送迎車から降りてもらう時も、移動する時も、お風呂で脱衣する時も、気のりがしなければテコでも動きません。
無理に何かをしてもらおうという動きを見せようものなら体全体で拒否します。基本的に声かけには応えません。
そんなおばあさんですが、信頼関係が築けているのでしょう。職員と職員以外の人に対しての反応が違います。職員以外の人がコミュニケーションを取ろうものなら思い切り人見知りを発揮しています。
そして時折、おちゃらけた女の子に戻ります。空き箱や棒など色々な物を頭にのせてたり、服を脱ぐ時に顔を出さずにタイツマンのようになってたり。明るくケタケタ笑う笑顔は本当に楽しい時だけ。
自分の心に忠実で、まさに猫のような気まぐれさ。職員は振り回されつつも、つかず離れずでいることで安心してもらえてる気がしてます。

熱血スポーツマン
テニスと野球をプレイするのが大好きだったおじいさん。レクリエーションでボールや風船を使った運動をするとスイッチON。
星飛雄馬の父さながら、「今度はそっちに行きますよ!」など、敬語の熱血コーチと化します。
パスし合いながら、長くラリーしていきたいのに、熱血敬語のおじいさんは常に試合している状態で、人の隙間を狙って打ち込んでしまいます。誇らしげな笑顔で何度も打ち込んでいきます。
利用者の皆さんは、体の動ける程度に個人差がありすぎて、とても熱血敬語のおじいさんと勝負にはならず、それに気づいたのか、最近は優しいソフトタッチでまんべんなく生徒(他の利用者)に指導することに注力しています。

危ない間寛平
歩行が不安定で杖を使っているおじいさん。よく職員相手に冗談で杖を突きに来ます。
かつて吉本新喜劇で活躍していた寛平ちゃんを思い出します。寛平ちゃんは演技だけど、おじいさんは普通に危ないですから。
また、おじいさんは身長に対して杖の長さを随分低くしています。直しても直しても自分で勝手に低くしてしまう無限ループなのです。
お風呂に入れば、永遠に髭剃りをし続け、もみあげの位置が決まらない無限ループ。自分なりの「こだわり無限ループ」があらゆるところで面倒くさいことになっています。

そんな濃いキャラが多いのは、皆、性格が煮詰まって熟した花が咲き乱れているからなのでしょう。







